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中小企業がレシート等のスキャン保存が難しいと思う3つの理由

2019.03.24

代表者ブログ

電子帳簿保存法をご存知でしょうか。

 

1998(平成10)年の税制改正によって「電子帳簿保存法」が成立し、運用開始の3カ月前に申請書を提出し、税務署長の承認を受ければ、税法上保存義務がある帳簿書類を「電子データ保存」することが可能になりました。

 

つまり、


・PCで作った帳簿書類をわざわざ紙に出して保管しなくて良い、
・領収書をペタペタ紙に貼って保管する必要がない、


ということです。

 

保存方法は、電磁的記録(ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等)だけでなく、サーバへの保存も可能です。
保存義務がある帳簿書類というのは下記の通りです。

 

国税関係帳簿書類の分類


これらの帳簿類は税務法上7年保管しなければなりません。
それがデータ保管で良いって、何と素晴らしい!!!、
会社から紙書類が消えるぞ~!!!、と思ったと思います。
実際に私もそう思いました。

 

でも、いざ導入しようとして、難しさを感じました。。。

 

(1)電子帳簿保存法で定めた基準をクリアするシステム選びが困難
総勘定元帳や仕訳帳、貸借対照表、損益計算書といった帳簿書類は、電子帳簿保存法で定める基準をクリアした会計システムを使う必要があります。
どの会計システムを使ってもOK!というわけはないのです。
弊社で使っているfreeeやMFクライドは基準を満たしていませんでした。


総勘定元帳や仕訳帳、貸借対照表、損益計算書等は、紙で出力したものをスキャンして保存することが認められていません。
独自調べでは、基準を満たす市販の会計システム導入には数百万~数千万円かかることがわかり、中小企業向けではありません。

 

(2)ルール整備、ルール運用のハードルが高い
帳簿類の電子化は諦め、領収書のスキャン保存はできるのではないか、ということで動いたのですが、そこにも壁がありました。

freeeやMFクライドは電子帳簿保存法で定める基準をクリアしています。
と、その前に、スキャン保存にも基準があるの?と思うかと思いますが、データ改ざん防止のため、タイムスタンプ(電子的な時刻証明書)が押されていることが条件となります。
電子帳簿保存法では、日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ認定業者のスタンプしか認められていません
領収書1枚につき1スタンプで、料金プランは各業者によります。

 

認定業者

 

freeeやMFクライドを使用した場合、スキャンし、アップロードした時点で認定機関のタイムスタンプが押され、且つ、タイムスタンプ料金は料金プランに含まれています。(タイムスタンプが含まれる料金プランを選ぶ必要あり)

 

これなら運用できるのでは?と思ったのですが、

スタンプ付与に関しては、
・本人が受領した領収書をスキャンする場合、領収書に本人直筆フルネームを署名をした上で3日以内。
・経理担当者が領収書を受け取った場合、1週間以内。

というルールが定められています。

実際に全ての領収書に対し、運用できるでしょうか。

 

・経理担当者が領収書を受け取った場合、1ヶ月+1週間以内。
という運用も認められるのですが、そのためには「受領から入力までの事務処理規程」を作成しなければなりません。

 

税務署へ申請する際、申請書とともに「スキャナによる電子化保存規程」の添付が必須なのですが、その中に事務処理のルールを明記することになります。

 

細かい運用ルールを設け、それに沿って運用できているか最低1年に1度チェックし、その検査報告書を残す必要があります。

誰を運用責任者にするのか、誰を作業担当者にするのか、誰を検査人にするのか等々定め、運用できないといけないということです。
この運用に工数を割いて導入するか、ということになります。

 

(3)結局、紙で保管しなければならない
税務署曰く、電子保存がしっかりできているか、税務調査の際に紙とデータとを照合するそうです。
よって、税務調査が入るまでは紙も保管するようにと言われました。
結局、紙は捨てられないということです。

 

国税庁の統計によると、平成29年度末での電子帳簿保存法に基づく保存の承認状況は、累計約15万社(法人税・消費税の申告)のようです。
日本にある企業は約382万社と言われているので、約4%が導入していることになります。この導入企業の累計件数を多いと思か、少ないと思うか・・・。

 

帳簿や領収書をデータ化すれば、保管しなくていいだぞ~と、サクッと簡単に始められると思っていたら、そうではなかったというのが正直なところです。
紙保管が絶対である、という運用にとって変わるには、それなりのハードルがあるということですね。
そもそも電子帳簿保存法は大企業向けに作られものである、と税務署に言われたことに納得でした。