この記事では、先日公表されたfreee会計の料金改定の影響と、freeeを利用されている皆様にとって、どのプランへの変更がおすすめなのかをfreeeを活用して約10年になる税理士法人ゼロベースの代表社員である渡辺の私見をこめてお伝えしています。
料金改定の時期は、2024年7月1日から
今回の料金改定は、2024年7月1日からとなります。そのため、今すぐの改訂ではないため、今すぐ急いで考える必要もないかもしれません。ただし、それぞれの機能の違いもございますので、そのあたりは早めに理解をしておくのが良いでしょう。
料金改定の対象は、「法人」のみ
料金改定は、「法人のみ」に限定されています。
そのため、個人版でスターター・スタンダード・プレミアムをご契約いただいている方々は影響ありませんのでご安心ください。
実質的に料金の値上げ
今回の料金改定は、実質的に「値上げ」と捉えていただくのが良いかと思います。
freeeの機能拡充は日々行われているため、前回の料金改定から機能面では日々、割安に利用できるようになっていた、とも解釈でき、これを適正化するための値上げと考える見方もあるでしょう。
ただし、同一価格で利用できていものが、今回の改訂でしっかりと定価に置き換えることは、ユーザーの皆様にとっては、値上げ、と感じてもやむを得ない気がしています。
現状プランと新プランを比較してみる
現状プランの分析
freee会計の法人版は、現状以下の4プランになっており、それぞれの特徴と料金をまとめると次のようになります。
プラン | 料 金 (月額) | 特 徴 (◯は魅力ポイント、□は普通、△はあんまり) |
ミニマム | 年払い1,980円 (月払2,680円) | ◯ 安さが魅力 □ 単一部門で実績を管理。 □ 売上1億円以下の場合は概ねこれでOK △ 請求書の作成機能がシンプル(すぎる) △ freeeはメールサポートのみ |
ベーシック | 年払い3,980円 (月払5,280円) | ◯ 部門別会計をしっかりおこなう(2階層) □ 売上1億円超えたらベーシックが理想 ◯ 一括請求書・定期請求書の作成が可能 □ freeeは電話もサポート |
プロフェッショナル | 年払い39,800円 (月払47,760円) | □ 予算管理もfreeeで実現 □ 予算管理をfreeeで行いたい場合はおすすめ |
エンタープライズ | 要問い合わせ | □ 上場している企業向け |
より詳細の料金やサービス内容はこちらのサイトをご参照ください。
新プランの分析
2024年7月1日から適用される新プランは、5つのプランへと移行するようです。
5つのプランと特徴は以下。
- ひとり法人 ー 中小規模法人向け
- スターター ー 中小規模法人向け
- スタンダード ー 中小規模法人向け
- アドバンス ー 中堅〜大企業向け
- エンタープライズ ー 中堅〜大企業向け
このようにプランは5つになりますが、ざっくりと中小規模法人向けは3パターンに、中堅〜大企業向けが2パターンというイメージになります。
アドバンスとエンタープライズはすここでは割愛し、まずは中小規模法人向けの3プランから考えて、それぞれのプランの特徴をざっくりとみてみましょう。
中小規模法人向けのプラン
3つのプランを比較してみましょう。
プラン | 料金 (月額) | 特 徴 |
ひとり法人 | 年払い2,980円 (月払3,980円) | × 入金管理レポート、支払管理レポートが使えなくなる □ 部門が無制限だったのが2つまでに絞られる □ ユーザー側で月締めができない(アドバイザーはできる) □ 同期口座が20件まで(銀行) □ 自分で法人税の申告を作りづらくなる(科目明細が作れなくなる) × 支払調書が作れない □ 経費精算ができない |
スターター | 年払い5,480円 (月払3,980円) | × カスタムレポートが作成できない × 部門配賦ができない ◯ 合算請求書・定期請求書が作成可能 ◯ 請求書の一括送付が可能 ◯ 経費精算可能 ◯ 入金管理レポート、支払管理レポートが使えなくなる □ ユーザー側で月締めができない(アドバイザーはできる) □ 自分で法人税の申告を作りづらくなる(科目明細が作れなくなる) × 支払調書が作れない ◯ 経費精算が1ID300円だが、利用がない月は無料となる |
スタンダード | 年払い8,980円 (月払11,980円) | □旧ベーシックプランでできていた「共通費の部門配賦が可能」 □カスタム権限設定が可能 □ 同期口座が50件まで(銀行) ◯ 経費精算が1ID300円だが、利用がない月は無料となる |
各料金の詳細につきましては、こちらをご参照ください。
旧プランと新プランの料金比較ができます
以下のfreeeサイトでは、旧プランと新プランの料金や機能の比較が可能です。
ご興味がある方は一度こちらをご覧いただくのもよろしいかと思います。
freeeの旧プランと新プランの料金比較サイト
また、新プランの詳細料金につきましては以下のサイトでシミュレーションが可能です。
freeeへのアクセス人数や経費精算等の対象人数等によって、料金が若干変動してまいりますのでこちらも便利でした。
freeeの新プラン料金シュミレーターサイト
旧プランと新プランを比較した渡辺の感想
上記の太字&黄色マーカーが結構クリティカルに辛いです。。
弊所のお客様で入金管理レポートと支払管理レポートを利用していない方(freee以外で、入金管理と支払管理ができていれば利用はないけども・・)はいないので、実質的にお客様にお勧めするプランは次のようになってきます。
旧プランでミニマムプランをご利用の方 →スタータープランを
旧プランでベーシックプランをご利用の方 →スターターかスタンダードプランを
これが今回のプラン改訂の大きなながれになるのではないでしょうか。
仮にミニマムプランの方がスタータープランを選んでいただくと、年払いの場合、年間23,760円が65,760円になり、42,000円の増加、となってまいります。。freeeの料金改定は、機能拡充に伴うものであり、やむを得ないというか、当然のことだと思っています。
なお、カスタムレポートは、マトリックス上で例えば、取引先と部門、取引先と時間軸などの2軸でデータを検証可能なツールで、データ分析にはよく利用することがございます。ただ、試算表からも頑張ればみれなくはないので、カスタムレポートがないことがクリティカルに辛い、とまでは言い切れないかもしれません。
また、スタンダードプラン(新プラン)は、今後、現状プランのプロフェッショナルで利用可能だった機能が、スタンダードにも降りてくる可能性があるようです。
高度なfreeeとの連携機能が一部有料化へ
主に以下の機能をご利用の方は、アドバンスプラン以上でなければ、フル活用が難しくなってまいります。この点は、freeeが発行するfreee unlimitedカードがプランに関係なく、証憑をfreeeにアップロードが可能でして、とても有用になってきます。
また、受取請求書の画像データのfreeeへのアップロードについても、freeeが提供するサービス(sweeep)がinvox等に変わって画像データをどのプランでもfreeeに連携が可能になります。
該当機能名 | サービス内容 |
高度な消し込み機能 | V-ONEクラウド |
高度な法人カード機能 | UPSIDER/バクラク (カード明細の連携機能は全プランプランで可能) (証憑のfreeeへのアップロードにはアドバンスプラン、エンタープライズプランのみ) |
受取請求書管理機能 | インボイス管理サービス Bill One invox受取請求書 Dx Suite |
freeeとの操作性の相性から考えると、
- クレジットカードは、freee unlimitedへ(画像データも同期可能、電子帳簿保存法対応)
- 受取請求書の連携は、sweeepへ(画像データの同期可能、取引データへの変換も可能に)
となってくるのが今後のながれになりそうです。ただし、sweepは現状月額19,800円と別料金を要するため、一定の請求書枚数がある場合に限られそうです(なお、アドバンストプランでは、月50枚まで料金の範囲内で対応可能とのこと)。
料金移行のスケジュール
2024年7月1日から順次改定されるようです。
freeeの新プランをみて思うこと ー経営者も売上アップのための値上げ時期ー
私たち税理士法人ゼロベースは、業種多様なお客様と接しています。
美容室や介護事業、塾事業や飲食店など、消費者を対象とするビジネスから、BtoBのビジネス。そしてVCによる出資を受けて事業規模の急拡大を目指す事業者様。いずれにしても思うことは、コストは今後、増加傾向にあるかと思います。人件費も然りです。人件費に関しては、仕方なくあげる、というよりも上げていくべきだと思っています。
給料が上がり、消費に還元され、それが事業者様の売上につながり、強いては利益体質の企業が増える。それが最終的に必要なことだろうと、たかだかfreeeの料金改訂ではありますが、そう思わされました。
私たち、税理士法人ゼロベースは、お客様の味方です。
お困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせください。