こちらは、社長が必ず知っておくべき10のこと(税金編)になります。
会社を運営する上で切り離せないのが税金です。税金は、会社の資金繰りにも影響を与えるため、その考えをしっかりしていなければ黒字倒産のリスクもあります。
まずは、税金の基礎知識をこの10問から身につけましょう。
起業家が知っておくべき
会社経営における税金の基礎知識クイズ
会社を経営していく上で、税金の知識は避けて通れません。このクイズを通して、会社経営に関わる税金の基礎知識を楽しく学びましょう。
【第1問】 税金は納める先によって国税と地方税に分けられます。次のうち、国税に分類されるものはどれでしょう?
解答: 3. 法人税
解説:
税金は、国に納める国税と、都道府県や市町村に納める地方税に大別されます。
- 法人税は、会社の所得に対して国が課税する代表的な国税です。
- 法人住民税は、会社の所得や資本金などに応じて都道府県と市町村に納める地方税です。
- 固定資産税は、土地や建物などの固定資産の所有者に対して市町村が課税する地方税です。
- 法人事業税は、会社の所得に対して都道府県が課税する地方税です。
【第2問】 会社の利益に対して課される主要な国税は何でしょう?
解答: 3. 法人税
解説:
法人税は、法人の各事業年度の所得に対して課される国税です。所得とは、益金(売上など)から損金(経費など)を差し引いたものです。
- 法人事業税と法人住民税も会社の所得などに対して課されますが、これらは地方税です。
- 所得税は、個人の所得に対して課される税金です。社長や従業員の給与からは所得税が源泉徴収されます。
【第3問】 2023年10月1日から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に関して、誤っているものはどれでしょう?
解答: 3. 適格請求書(インボイス)がないと、買手は仕入税額控除が一切できなくなる。
解説:
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、消費税の仕入税額控除に関する新しい制度です。
- 選択肢1:適格請求書発行事業者になるためには、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
- 選択肢2:免税事業者であっても、課税事業者となることを選択し、適格請求書発行事業者の登録を受けることで、適格請求書を発行できるようになります。
- 選択肢3:これが誤りです。インボイス制度開始後、適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者など)からの課税仕入れについては、原則として仕入税額控除を行うことができません。しかし、制度開始から一定期間は、免税事業者等からの仕入れについても、一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。したがって、「一切できなくなる」という記述は正しくありません。
- 選択肢4:適格請求書(インボイス)には、従来の請求書に加えて、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となります。
【第4問】 従業員に給与を支払う際に、会社が天引きして国に納める税金は何でしょう?
解答: 3. 源泉所得税
解説:
会社は、従業員に給与を支払う際に、所得税をあらかじめ天引きし(源泉徴収)、従業員に代わって国に納付する義務があります。これを源泉所得税といいます。住民税も給与から天引きされますが(特別徴収)、これは都道府県や市区町村に納付する地方税です。
【第5問】 課税売上が1,000万円を超えた場合、原則として翌々事業年度から納税義務が発生する税金は何でしょう?
解答: 2. 消費税
解説:
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供などに課される税金です。基準期間(通常は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えると、その事業年度から消費税の納税義務者(課税事業者)となります。ただし、特定期間(前事業年度開始の日以後6ヶ月間)の課税売上高や給与支払額が1,000万円を超えた場合も課税事業者となるなど、例外もあります。インボイス制度開始後は、免税事業者であっても適格請求書発行事業者となるために課税事業者を選択する場合もあります。
【第6問】 契約書や領収書を作成した際に、収入印紙を貼付することで納める税金は何でしょう?
解答: 2. 印紙税
解説:
印紙税は、経済取引に伴って作成される契約書や領収書などの特定の文書(課税文書)に対して課される税金です。文書の種類や記載金額によって税額が定められており、収入印紙を文書に貼り付けて消印することで納税します。
【第7問】 会社が所有するパソコンや応接セットなどの事業用資産(土地・家屋以外)に対して、市町村が課税する税金は何でしょう?
解答: 3. 償却資産税
解説:
償却資産税は、会社や個人事業主が事業のために所有している土地・家屋以外の有形固定資産(例:機械、装置、工具、器具、備品など)に対して課される地方税(市町村税)です。毎年1月1日時点で所有している償却資産について、その取得価額や耐用年数に基づいて評価され、税額が計算されます。
- 固定資産税は、土地や家屋に対して課税されます。
- 都市計画税は、都市計画区域内の土地や家屋の所有者に対して、固定資産税とあわせて課税されることがあります。
【第8問】 青色申告の承認を受けることのメリットとして、誤っているものはどれでしょう?
解答: 3. 消費税が必ず免除される
解説:
青色申告は、一定水準の記帳をし、その帳簿に基づいて正しい申告をする納税者が税務上の特典を受けられる制度です。主なメリットには、欠損金(赤字)の翌事業年度以降への繰越控除や繰戻し還付、30万円未満の減価償却資産を一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)、貸倒引当金の法定繰入率とは別に一定額を繰り入れることができるなどがあります。
消費税の免除は、青色申告の直接的なメリットではなく、基準期間の課税売上高など別の要件によって決まります。
【第9問】 役員報酬を経費(損金)として計上するために、原則として守るべきルールは何でしょう?
解答: 1. 毎月同額を支払う(定期同額給与)
解説:
役員報酬を損金として算入するためには、原則として「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかの要件を満たす必要があります。このうち最も一般的なのが「定期同額給与」で、事業年度内の各支給時期において支給額が同額である給与を指します。期中に役員報酬を変更する場合は、原則として事業年度開始から3ヶ月以内などの制限があります。安易に増減すると損金として認められない部分が発生する可能性があるため注意が必要です。
【第10問】 税務調査とは何でしょう?最も適切な説明はどれでしょう?
解答: 2. 納税者の申告内容が正しいかどうかを確認するために行われる税務署による調査
解説:
税務調査は、納税者が提出した申告書の内容が、税法に照らして適正であるかを確認するために、国税庁や税務署の職員が行う調査です。帳簿書類の確認や質問などが行われます。脱税の摘発のみを目的とするものではなく、申告内容の確認や指導も含まれます。多くは任意調査ですが、質問検査権に基づいているため、正当な理由なく拒否することはできません。
【特別問題】 法人の実効税率に関する記述として、正しいものはどれでしょう?
解答: 3. 法人税、法人住民税、法人事業税などを考慮した、法人の所得に対する実質的な税負担率のことで、会社の所在地や所得規模によって変動する。
解説:
法人の実効税率とは、法人が所得に対して負担する実質的な税率のことです。法人税(国税)だけでなく、法人住民税や法人事業税(地方税)も考慮に入れて計算されます。これらの税率は、所得の金額や資本金の額、さらには事業所の所在地(都道府県や市町村)によって異なるため、実効税率は会社ごとに、また事業年度ごとに変動します。赤字の会社でも、法人住民税の均等割は発生するため、実効税率という概念自体がなくなるわけではありませんが、通常は所得があることを前提に議論されます。